ボンバードメント法による花粉ゲノム編集と可視化の研究成果が掲載されました

2021年6月14日

 花粉がめしべに付着すると、花粉管が伸びて内部のオスのゲノムを胚珠へ運び、卵細胞と受精してタネになります。ボンバードメント法は任意の物質を物理的に細胞へ導入する方法です。本領域班員の水多と研究協力者の永原史織博士は、ボンバードメント法で花粉にCRISPR-Cas9を導入し、花粉のゲノム編集に成功しました。さらに導入された花粉を受粉し、胚珠に内容物が届けられる様子を可視化しました。

 本方法ではカルスや再分化といった、煩雑で時間のかかる培養操作が必要ありません。導入花粉を受粉するだけでゲノム編集植物を得られる可能性があることから、育種に時間がかかる植物や、組織培養が難しい植物などに有効な方法と考えられます。

 本研究成果は、2021年6月19日に植物生殖関連の国際誌「Plant Reproduction」に掲載されました。

論文情報:
Detection of a biolistic delivery of fluorescent markers and CRISPR/Cas9 to the pollen tube.
Shiori Nagahara, Tetsuya Higashiyama, Yoko Mizuta
Plant Reproduction (2021)

http://link.springer.com/article/10.1007/s00497-021-00418-z

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ゼニゴケが「傘」をつくりはじめる仕組み ー 生殖器の発生開始制御についての総説を発表しました

2021年6月14日

 モデル植物ゼニゴケが、造卵器・造精器と、ゼニゴケ目特有の傘状の生殖器托の発生開始をどのように制御しているか、そのメカニズムについての総説を、本領域班員の山岡らがまとめ、植物生殖関連の国際誌Plant Reproductionに2021年6月11日付で発表しました。
 被子植物では花成 (flowering) としてみられる栄養成長から生殖成長への移行は、植物の重要なライフイベントです。この総説では、コケ植物の生殖成長への移行の分子メカニズムの最近の研究をレビューしました。そして、ゼニゴケでは光や内的なシグナルが生殖器発生を直接制御しており、それらの制御モジュールは陸上植物全体で保存されていること、また花成のメカニズムは、進化の中で、それらのモジュールにフロリゲンによるシグナル伝達などが加わることで生まれてきたと考察しています。

論文情報:

Regulation of gametangia and gametangiophore initiation in the liverwort Marchantia polymorpha.
Shohei Yamaoka, Keisuke Inoue, Takashi Araki
Plant Reproduction (2021)

https://link.springer.com/article/10.1007/s00497-021-00419-y

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植物における二光子イメージングの動向についての総説を発表しました

2021年6月14日

 植物分野における二光子(多光子)励起顕微鏡を用いた最近の動向についてまとめた総説を、本領域班員の水多がまとめ、植物関連の国際誌Plant Cell Physiologyに2021年5月26日付で発表しました。
 蛍光タンパク質や蛍光色素が爆発的な発展したことにより、植物細胞や組織内を生きたまま、より早く、深く、高解像度で観察するイメージング技術が求められています。なかでも二光子顕微鏡は、生体深部を低ダメージで観察するのに適した顕微鏡です。近年は、観察のみならず、局所刺激やアブレーション、発現誘導など、観察だけにとどまらない報告や、組織の透明化技術と組み合わせた報告も増加しています。
今後、植物分野での活躍が期待されるイメージング技術の一つとしてまとめました。

論文情報:

Advances in Two-Photon Imaging in Plants.
Yoko Mizuta
Plant Cell Physiology (2021)

https://doi.org/10.1093/pcp/pcab062

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モデル植物ゼニゴケの総説がAnnual Reviews of Plant Biologyに掲載されました

2021年6月2日

 モデル植物ゼニゴケについての総説が、2021年3月8日、米国の総説集Annual Reviews of Plant Biologyのオンライン版に掲載されました。本領域アドバイザーの河内孝之先生が筆頭著者で、本領域班員の山岡が有性生殖についての項目の執筆を担当しています。

 

論文情報:

Development and Molecular Genetics of Marchantia polymorpha.

Takayuki Kohchi, Katsuyuki T Yamato, Kimitsune Ishizaki, Shohei Yamaoka, Ryuichi Nishihama. 

Annu. Rev. Plant Biol.

https://doi.org/10.1146/annurev-arplant-082520-094256

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領域代表の丸山 大輔 博士らの研究成果がNature Communications誌に発表されました

2021年4月22日

 花粉管は2つの精細胞を卵細胞のある胚珠へと運ぶ役割を持っています。精細胞は一対が花粉管の栄養核と繋がって花粉管先端へと輸送されますが、その仕組みはよくわかっていません。丸山班と立命館大の元村一基博士、そして名古屋大学の共同研究により、精細胞で細胞壁多糖の一種であるカロースを蓄積させることで、精細胞の先端輸送能力が極端に低下することがわかりました。この性質を利用することで、栄養核と精細胞が全く先端に輸送されない花粉管を作出することに成功しました(図中:cals3m + wit1/wit2)。
本研究成果は、2021年4月22日に英国Natureグループが発行するオンライン科学誌「Nature Communications」に掲載されました。

 

論文情報:

Persistent directional growth capability in Arabidopsis thaliana pollen tubes after nuclear elimination from the apex.

Motomura et al.

Nature Communications

https://doi.org/10.1038/s41467-021-22661-8

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領域代表の丸山 大輔 博士が参画したケンタッキー大学の河島博士の研究成果がPNAS誌に発表されました

2020年12月8日

 被子植物の重複受精の過程において、これまで精核の移動はメスの配偶子の核に向かって移動するアクチン繊維の動きによって制御されていることがわかっていましたが、どのような分子がこのアクチン動態を制御しているのかわかっていませんでした。今回は精核の移動制御がクラスXIのミオシンによって制御されていることを明らかにしました。また、この精核の移動はアクチン繊維を足場として新たなアクチン重合を誘導するARP2/3複合体には依存していないこともわかりました。これは被子植物のメスの配偶子では他の細胞には見られない特殊なアクチン制御が行われていることを示唆しており、重複受精がスムーズに行われる謎の一端を解明した成果といえます。

本研究成果は、2020年12月8日に米国の「PNAS誌」に掲載されました。

論文情報:

ARP2/3-independent WAVE/SCAR pathway and class XI myosin control sperm nuclear migration in flowering plants.

Ali et al.

Proceedings of the National Academy of Sciences

https://doi.org/10.1073/pnas.2015550117

花のイラスト